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労働保険Q&A(雇用保険の手続を本社で一括して行う場合について)

雇用保険の手続を本社で一括して行うことができますか
質問
 当社では、今般、人事労務関係の事務処理の合理化を図るため、コンピュータ等を導入して本社で給与計算、人事管理等を集中して処理することとし、支店は本社から与えられた商品を販売するだけの機能にとどめることとしました。
 ついては、雇用保険の手続も本社で一括して行いたいのですが、このような方法はとれるのでしょうか。
回答
雇用保険の適用は、それぞれの事業所ごとに行われることになり、適用事業の事業主は、被保険者に関する届出その他の事務について、原則としてその事業所ごとに処理しなければなりません。労働者の就労する場所が、一つの事業所に該当するものであれば、各種の届出等はそこで処理されるのが原則となります。
 それが一つの事業所として取扱われるか否かは、通常、次の基準によって判断されます。


参考1(事業所に関する判断の基準)
事業所に関する判断の基準(22002)

一つの事業所と認められるものであれば、被保険者に関する届出等は事業所ごとに事務処理を行うのを原則とする(雇用保険法施行規則第3条)が、事業主に雇用されている労働者の勤務する場所又は施設がすべて事業所に該当するものではない。それが一つの事業所として取り扱われるか否かは、徴収法施行規則上の事業場の単位の決定と同様に、次の各号に該当するか否かによって判断する。
(イ) 場所的に他の(主たる)事業所から独立していること。
(ロ) 経営(又は業務)単位としてある程度の独立性を有すること。すなわち、人事、経理、経営(又は業務)上の指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること。
(ハ) 一定期間継続し、施設としての維持性を有すること。
労働者の勤務する場所又は施設がイの(イ)、(ロ)及び(ハ)の全てに該当する場合は、もとより一つの事業所として取り扱うものであるが、イの(イ)、(ロ)及び(ハ)の要件を満たさない場合であっても、他の社会保険の取扱い、労働者名簿及び賃金台帳の備付状況等により、一つの事業所と認められる場合があるから、実態を把握の上慎重に決定を行う。

 また、上記イによる事業所の単位と徴収法施行規則上の事業場の単位(徴収法による適用徴収事務の処理単位)は、原則として一致すべきものであるから、一つの事業場と認められるか否かの判断に当たっては、徴収法施行規則上の事業場の単位との関連について十分留意する必要がある。

労働保険適用・料率関係通達要覧
(平成11年3月10日発行・労働大臣官房労働保険徴収課編)807ページ

 以上のような考え方に立った場合、支社(営業所)とか工場とかいったように、一定の労働者がそこで勤務するものは、通常は場所的にも経営ないし業務単位としてもある程度の独立性を有すると考えられますから、一つの事業所として雇用保険の適用単位になるものと考えられます。

 ご質問のケースのように、従来、支店ごとに行われていた給与計算等の業務処理を本社で一括して行われることとなった場合、当該支店が事業所として取り扱われるかが問題となりますが、独立した経営単位と認められない実態を有する場合には、公共職業安定所長の承認を得て、直近上位の適用事業所、例えば本社で一括して事務処理を行うことができます。

 この取扱いを受けようとするならば、その支店の所在地を管轄する公共職業安定所長に「事業所非該当承認申請書」を提出し、その承認を受けることが必要です。

 承認の申請を受けた公共職業安定所長は、前述の事業所の基準に照らして、事業所に該当しないと認められる場合にのみ承認することになります。

 この事業所非該当の承認を受けた支店等は、雇用保険法上の事務所とはみなされなくなりますので、各種届出の事務はすべて本社等直近上位の事業所で一括して行うことになります。

 なお、事業所非該当の具体的な取扱いの概要は次のとおりです。


参考2(事業所非該当の具体的な取扱の概要)
事業所非該当の取扱いの概要(22051)

22002に示す基準により事業所と認められないものについては、それを単位として雇用保険に関する事務を行わないものであるが、事業所として取り扱うか否かの決定は慎重に行い、事業所ごとに事務を処理すべき原則に反しないよう留意しなければならない。したがって、事業所非該当の取扱いを行うに当たっては、1人ないし2人程度の事業所、短期間の出張員の駐在する場所等明らかに事業所と認められないものを除き、次の手続により事業主に事業所非該当承認申請書を提出させ、事業所として取り扱うか否かを決定する。
事業所非該当承認は、被保険者に関する届出その他の処理単位である「事業所」の取扱いについてのものであり、徴収法施行規則による適用徴収事務の処理単位としての「事業場」の取扱いにまで効力が及ぶものではない。
事業所非該当承認は、一つの経営組織としての独立性を有しない施設につき一つの事業所として取り扱わないことを承認するものであり、徴収法第9条の規定による継続事業の一括の認可のように、賃金計算等の事務をコンピュータ等により集中管理する事業について、事業主及び行政の事務処理の便宜と簡素化を図るために行うものではない。

労働保険適用・料率関係通達要覧
(平成11年3月10日発行・労働大臣官房労働保険徴収課編)808ページ


参考3
労働者派遣事業を行う事業所と事業所非該当の承認について
 労働者派遣事業を行おうする者は、事業所ごとに許可を申請(又は届出)することとされていますが、ここでいう「事業所」とは、雇用保険の適用事業所に関する考え方と同一であり、前述の事業所に関する判断の基準(22002)が援用されています。したがって、労働者派遣事業を行う事業所は雇用保険の適用事業所とその単位が一致することとなり、事業所非該当施設として取り扱われません。